ねことじいちゃん
キャスト

立川志の輔
大吉役

柴咲コウ
美智子役

柄本佑
若村健太郎役

銀粉蝶
サチ役

山中崇
剛役

葉山奨之
内村聡役

田根楽子

小林トシ江

片山友希

立石ケン

中村鴈治郎

田中裕子
よしえ役

小林薫
巌役
解説
世界的に知られる動物写真家・岩合光昭が初めて映画監督に挑み、ねこまき原作の同名コミックを落語家の立川志の輔主演で実写映画化したヒューマンドラマ。とある小さな島に住む70歳の大吉は、2年前に妻に先立たれて以来、飼い猫のタマと2人きりで暮らしている。生まれ育ったこの島には幼なじみの巌をはじめ多くの友人や猫がおり、穏やかな日常が流れていた。東京で暮らす息子・剛はひとり暮らしの父を心配しているが、大吉もタマも自由気ままな現在の生活に満足している。しかし、親しい友人の死や大吉自身の身体の不調など、ずっと続くと思っていた日常に少しずつ変化が訪れはじめ……。ヒロインを柴咲コウが演じるほか、小林薫、田中裕子、柄本佑ら実力派俳優がそろう。(映画.comより)評価:★★★★☆
ねことじいちゃんのワンシーンより
早速、みてきました。総じて、みてよかったと思える作品でした。
毎週、「岩合光昭の世界ネコ歩き」なる番組を録画していて、常日頃からすごい人だなぁと思っていたのだけれど、今回初めての映画監督として、ねこにまつわるストーリー展開でどのような映画を作り上げるんだろうと思って、楽しみにしていた。
まず、驚いたのは、すべてのシーンでネコが登場していること。
シーンというか、すべてのカットで。(もしかしたら船だけってカットもあったかも)
岩合さんらしく、これは前提として「猫の映画である」というメッセージをそこに感じた。
試写会の会見の様子でも他の俳優が語っていたように、本番の撮影ではキャストの演技そっちのけで、猫の写り具合に感動してOK・NGを出していたというのだから、これはこれで動物写真家らしい作り方でよいと思う。
次に、四季がとてもわかりやすく表現されていた。
特に、自然の風景を映し出すだけでなく、そこに猫という対象も加わるので、さらに季節感が現れていた。
例えば、冬になればいつも猫のために細く開けている扉から入る隙間風が気になったりだとか。
そういった細かい表現が映画全体で行われていたことで、2年の歳月を説明なしに感じ取れたのだとおもう。(作中では、年越しの文句や季節の挨拶は特になかった)
また、やはり光の扱い方が素晴らしかったように思う。
普段から岩合監督は、猫を撮影するときにはそのシルエットや光の反射の仕方に気をつけて撮影している。
この作品の中でも、動物以外に対する光の当て方にも工夫がみてとれた。
逆光のシーンでも、しっかり手前から光をあてるべきところ、逆光を生かすところなど、うまく使い分けていた。
また、料理のシーンは明るく、とても美味しそうに写っていたのが印象に残っている。
そしてなによりも、この作品は、人と猫のお話であるということ。
じいちゃんや島の人間の関係やら、人生やらが描かれていくが、いつも側についている猫たちのストーリーにも気をつかってみてほしい。猫がそこにいる人のシーンと同じような境遇や、状況にいてシンクロしていたりもするから、面白い。特に恋愛のパートなどは。(あと、柴咲コウがかわいい。)
柴咲コウが可愛い
岩合さんは、全体的にそんなところにこだわって撮影していたのだとわかる。総じて、これまで動物写真家として活動してきた岩合さんの初の映画作品というだけあって、あまり期待はしていなかったのだけれど、
映画としてプロットもしっかりしていたし、猫も満喫することがでできたし、なによりも、岩合さんならではの世界観により、とても幸せなゆっくりとした時間を過ごすことができたのが、この作品を見た一番の収穫だったのではないかと思う。
猫好きの人だけでなく、毎日が忙しくてかなわん人にも、ぜひ見ることをお勧めする作品である。