映画「ディパーテッド」のレビュー・感想・評価

2019-03-08 23:27:18 264

ディパーテッド

ディパーテッド

基本情報
原題:The Departed
制作年:2006年
制作国:アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:152分
映倫区分:
監督: マーティン・スコセッシ

キャスト

レオナルド・ディカプリオ
レオナルド・ディカプリオ
ビリー・コスティガン役
マット・デイモン
マット・デイモン
コリン・サリバン役
ジャック・ニコルソン
ジャック・ニコルソン
フランク・コステロ役
マーク・ウォールバーグ
マーク・ウォールバーグ
ディグナム役
マーティン・シーン
マーティン・シーン
クイーナン役
レイ・ウィンストン
レイ・ウィンストン
ミスター・フレンチ役
ベラ・ファーミガ
ベラ・ファーミガ
マドリン役
アレック・ボールドウィン
アレック・ボールドウィン
エラービー役
アンソニー・アンダーソン
アンソニー・アンダーソン
ブラウン役

解説

「タクシードライバー」「グッドフェローズ」の巨匠マーティン・スコセッシ監督が、香港映画の傑作「インファナル・アフェア」(02)を米・ボストンに舞台を置き換えてリメイク。第79回アカデミー賞で作品賞ほか、スコセッシ自身初となる監督賞も受賞した。主演は「ギャング・オブ・ニューヨーク」「アビエイター」に続いてのスコセッシ作品となったレオナルド・ディカプリオとマット・デイモン。共演にジャック・ニコルソン、マーク・ウォールバーグら。(映画.comより)

評価:★★★★★

俺的No.1刑事物、スパイ物映画。
スコセッシ監督*1、レオナルド・ディカプリオ*2、マット・デイモン*3、ジャック・ニコルソン*4、マーク・ウォールバーグ*5、脚本、演出、音楽、全てが素晴らしい。これ以上の組み合わせはないでしょう。第93回アカデミー作品賞も受賞しています。
 
もともと香港の映画「インファナル・アフェア」*6があり、そのリメイク作品になるのですが、僕の場合、こちらから入ったために、こちらの衝撃が刷り込まれてしまい、本家の方は1作目で眠たくなってしまう始末でした。
インファナルの方はまたちゃんと見直そうとは思いますが、「ディパーテッド」は見事にハリウッドの本気を出し、昇華させた作品ではないでしょうか。
 
映画のシチュエーションとしては、ボストン警察の優秀な刑事として採用されたビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)と、幼少からコステロ(ジャック・ニコルソン)率いるマフィアの一味に育てられたコリン・サリバン(マット・デイモン)が、それぞれ相手の組織に潜入するというもの。
つまり、ビリー(ディカプリオ)は警察からマフィアへ、サリバン(マット)はマフィアから警察へ行くことになるのです。
 
普段あまり映画を見ない人、いつもぼーっと見ている人がこの映画を予備知識なしで見ると必ず混乱します。
というのも、結構似てるんだよねー、ディカプリオとマットのイメージというか雰囲気が(帽子かぶったりすると結構顔も似てることに気がつく)。
しかも、それぞれ完璧に相手の組織になじむため、激しく切り替わるそれぞれの組織の描写を追っているうちに、そもそもどっちがマフィアだったか警察だったかわからなくなってくる( What's the difference? )のです。
 
 
ということで、そんな可哀想な人を生まないために簡単な関係図を書いてみました。
うん、我ながらよくできたと思う。
 
 
つまりは、 ビリーも、サリバンも同じくして刑事に採用されますが、お互いにほぼ認識しないまま、ビリー(そろそろ顔覚えてきたかな?)がマフィアに潜入するので、お互いに分からないという状態なんです。
 
流し読みしている人はもうわけわかんなくなってきてると思います。
 
 
冒頭からぶっ飛んだ演出で、サリバンの幼少期から一気に大人になるのをまるで「2001年宇宙の旅」を真似たかのような素晴らしい演出で一気にタイムスリップさせるんです。
 
<2001年宇宙の旅>猿からヒトへの進化を一瞬で表現した神演出
 
<ディパーテッド>幼少期から大人を一瞬で表現した粋な演出
 
かと思えば、クィーナン警部の右腕であるディグナム巡査部長がゲスな言葉をばら撒き、新米刑事のビリーをまくしたて始め、このテンポにはいやはや、圧倒されました。
ついていくのがやっとで、観客であるこちらまでイラっとしてディグナムを殴ってしまいそう。
ギリギリのところまで人を精神的に追い詰める圧迫面接ってのはこういうことを言うんですw 
巷で度々話題にされる就活の面接話なんかハナクソみてぇなもんでですわ。
 
 
ビリーもビリーで可哀想に、警察に入るや否やいきなり身分抹消で前科をわざと作り、マフィアに仲間入りさせられるという究極の人生を迫られるんだから、、、状況によっては必ずしも元の刑事という身分にに戻れる保証はないのです。
 
たまったもんじゃないよね。
 
ネズミってことがわかった瞬間、もしくは疑われた瞬間にブッコロリーされるかもしれない恐怖ってどんなものでしょうか。それはこの作品を見ればわかります。
サリバンはマフィアから警察に潜入して、見事麻薬捜査班に入るのですが、こちらはビリーに比べればまだ楽な方です。
前科さえなければ、真っ当に就職しただけなので、ネズミだと分かれば裁判にかけられGo to jailさせられる程度でしょう。
 
そんな二人が互いのボスに情報を流し続けるのです。
マフィアの取引現場を、警察が携帯電話の電源から位置を把握しようとすれば、それをサリバンから受けたコステロは仲間に電源を切るように伝え、ビリーは密かに切らずにおいて、警察がきて、、、という単純なものじゃないのですが、お互いがなぜ上手くいかないんだ!っというイライラを募らせる攻防には思わず手を握るほどハラハラします。
 
当然、ネズミがいることが分かる両者ですが、どうにかして内部調査を掻い潜らなければなりません。
そこのあたりの、ビリーの可哀想なほどに試されるシーンの数々にはもうさすがに助けてやれよ、ヤバイよ、コロサレルヨと心配になります。
 
解放を求めたビリーに対し、ディグナムにはさんざんの悪態雑言をつきます。
ビリーは精神を病んでしまいます。
出会った精神科医の女性とのやりとりも面白く、まぁ普通にボーイミーツガールなんですが、ビリーが見事なまでにそのメンヘラっぷりを発揮するのです。
 
ありがちな流れなんですが、サリバンがナンパした女もこの人で、二人はまさかの穴兄弟に昇進するのでした。(THE END)
 
 
 
ここまで挙げた見どころをまとめると、
 
豪華キャスト陣
各登場人物の役回り、立場、都合
いつ死ぬかわからない恐怖
内通の攻防戦
ネズミは誰だ、内部心理戦
女医との色恋
 
と盛り沢山なわけですが、他にも、警察内部の各部署の激しい対立(対マフィア並みに喧嘩してるくらい)や、ビリーとサリバンが互いに意識する瞬間、尾行、銃撃戦など、見どころをあげると枚挙にいとまがありません。ただ、これらを楽しみたければ何もディパーテッドでもなくてもいいのです。
本家であるインファナル・アフェアはシリーズ化されているので。
 
 
ディパーテッドがディパーテッドたり得るのは、やはりキャストの一人一人の表情やセリフのクオリティであったり、演出の効果やタイミングの部分なんです。
これはさすがに見ないとわからないので、是非、見てください。
 
最後に、ひとつ。
 
お互いいつ死ぬかわからないヤバイ状況で、誰もが保身に走る中で、「保身に走らず正義を貫く」奴の存在が鍵となります。
 
 
そして最後に残るのはこの言葉だ。
 
 
「What's the difference?」
 
 
<おまけ>
冒頭のコステロが店の姉ちゃんにファックな言葉をかけた後、耳元で囁いて姉ちゃんがニヤッとしたのはなんでだろう、何を言ったんだろうとずっと気になる。誰かなんて言ったか考えて教えて欲しい^^;
 
 
俳優:★★★★★
できれば主要キャラ全員紹介したいのですが、メインの4人で済ませます。
ビリー・コスティガン(レオナルド・ディカプリオ)

レオナルド・ディカプリオ
ビリー・コスティガン
ストーリー上、一番かわいそうなキャラ。ここまで極限状態の男を演じる事ができるのは、彼しかいないかもしれない。
最近太ったけど、痩せたらイケメン。
 
何も失うものがなくなくなった者が一番信用できないというコステロの一言が響く。
コリン・サリバン(マット・デイモン)

マット・デイモン
コリン・サリバン
俺のマット、マット!ストーリー上、一番かわいそうなキャラはこいつかもしれない。
どっちだよ、だがそれも、What's the difference?というこの作品のテーマに即している。
 
警察の内部調査をしなければならなくなった時、クィーナン部長を尾行対象にしたのは天才かと思った、脚本。
ディグナム巡査部長(マーク・ウォールバーグ)

マーク・ウォールバーグ
ディグナム
冒頭部分の10分間だけで数々の名言を生み出したディグナム巡査部長。マジでこれはぶっとんでる。彼の他のどの作品と比べても、これが一番ぶっとんでる。
 
「(ブー、)次はシェークスピアか」「You are NO FUCKIN' cop!(お前は警官じゃない)」「Maybe, maybe not, maybe fuck yourself.(たぶん、たぶんまだだ、しるかボケ)」
フランク・コステロ(ジャック・ニコルソン)
強烈な、顔。
強烈すぎて、「これから捕まえる奴はこいつだ」と顔写真が出てくるシーンはいつもドキッとする、なんなんだろうw
彼の一番のお気に入りのシーンは、ビリーがネズミかどうか直接面接した時の「Fuckin’ RAT!」の顔。たまらん。
脚本:★★★★★
完璧すぎる。
余計なセリフがない。これでもかというほど差別的表現が出てきます。
なぜ作中でアイリッシュ系がバカにされているのか、少し知っておくと良いかもしれません。
まぁ、移民の問題になるのですが、詳しい話は下の記事が参考になると思います。
http://www.fic.i.hosei.ac.jp/~kumasemi/sempkino.htm
ラスト10分の怒涛の展開は目をみはるものがあります。
 
ついてけねーw
演出:★★★★★
もうね、セリフのタイミングとか、各キャストの表情とか、ここぞというときの迫真の演技だとか、どれも飾っていなくて、純粋にその状況に置かれたからこそ出てきた行動や言葉なんだと自然に受け入れられる形でかつ、心臓が揺さぶられる形で表れているんです。
あとは音楽ですが、Dropkick Murphysの「I'm Shipping Up To Boston」が作中で幾度か使われています。
多分、マフィアが大仕事をする時。
 
彼らはアイリッシュ系のロックバンドw なんですが、これがものすごくいい。
シーンのカットアウト、カットインに併せて曲が流れたりスパッと消えたりするので、よりシーンが映える形になっています。
個人的に最高だと思ったのは「(〜♪、カット)ビリー?」の所。ビリーがいとこのおばさんに会うシーン。

 
個人的に最高だと思った、ラストのシーン。
ベランダの手すりの上を一匹のネズミがこそこそ歩いていく。
この10秒ほどの時間が、2時間の全てを表しているのです。
 
この演出はニヤニヤと衝撃でした。俺的演出の殿堂入りです。
あー、また見たくなってきた。
 
以上!本気度の高いレビューでした。期待外れでしたら申し訳ない。

 
以下、注釈
*1:マーティン・スコセッシ[1](Martin Scorsese, 本名: Martin Marcantonio Luciano Scorsese, 1942年11月17日 - )は、アメリカ合衆国の映画監督、脚本家、映画プロデューサー。
*2:レオナルド・ウィルヘルム・ディカプリオ(英: Leonardo Wilhelm DiCaprio [liːəˈnɑːrdoʊ dᵻˈkæprioʊ], 1974年11月11日 - )は、アメリカ合衆国の俳優、映画プロデューサー、脚本家。
*3:マット・デイモン(Matt Damon, 1970年10月8日 - )は、アメリカ合衆国の俳優、脚本家。身長178cm。
*4:ジョン・ジョゼフ“ジャック”・ニコルソン(John Joseph "Jack" Nicholson、1937年4月22日 - )は、アメリカ合衆国の俳優、プロデューサー、映画監督。ジャック・ニコルスンと表記される事もある。
*5:マーク・ウォールバーグ(Mark Wahlberg, 本名: Mark Robert Michael Wahlberg, 1971年6月5日 - )は、アメリカ合衆国の俳優・歌手である。名字はウォルバーグとも表記される。左利き。
*6:『インファナル・アフェア』(原題:無間道、英題:Infernal Affairs)は、2002年の香港映画で、香港ノワールの代表的作品である。監督はアンドリュー・ラウとアラン・マック。潜入捜査官としてマフィアに入り込むヤン(トニー・レオン)と、そのマフィアから警察に潜入するラウ(アンディ・ラウ)の物語。警官として苦悩するヤンと、組織を裏切り善人になろうとするラウが対照的に描かれている。

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