同郷の故大山康晴15世名人に導かれ、普及に取り組んで半世紀。
全国でも4人のみの栄誉に「名人の存在あっての自分。
遺志を継ぎ、将棋の楽しさを一人でも多くの人に伝えたい」と相好を崩す。
岡山県内の主要な将棋大会の会場には、いつも北村さんの姿がある。
仲間と一緒に机や椅子を並べて準備し、参加者の顔ぶれを見ては対局の組み合わせを決める。
「棋楽人」のペンネームで新聞連載する観戦記も人気だ。
記念館で開く子ども教室には、少年時代の菅井竜也八段(28)=岡山市=も通った。
普及を志したのは、故大山康晴15世名人(倉敷市出身)との出会いがきっかけだ。
30歳の頃に出場したアマチュア大会で、審判長を務めた名人が、会場でたばこの吸い殻などを率先して片付けていた。
その姿に感銘を受けた。
自分の勝負以上に普及を大切にする名人の人柄に触れ、裏方として働くようになった。
「帰郷の度に声を掛けてくださり、本当にかわいがってもらった」。
女性将棋の公式タイトル・大山名人杯倉敷藤花戦、全国小学生倉敷王将戦の創設にも尽力し、倉敷は“将棋の聖地”として知られるようになった。
棋道正師範は「将棋の日」(11月17日)にちなみ、2020年11月に新設された。
委嘱されるのは「大山康晴賞」の受賞などの条件を満たし、さらに「顕著な活動実績」がある人だけ。
普及を極めた証しともいえる資格だ。
「一人のプロを育てるより、人間性豊かな将棋好きを増やしたい」と語る北村さん。
コロナ禍の本年度は子ども教室も倉敷王将戦も休止し、影響を心配する。
(https://news.goo.ne.jp/article/sanyo/region/sanyo-20210111093200.htmlより引用)