アトピー性皮膚炎の治療薬が続々と登場! 皮膚科医が期待の新薬を解説 2021-01-08


図 この記事のタイプ傾向 (「上気」「大事」「悩む」「発表」「期待」)

(https://news.goo.ne.jp/article/dot/life/dot-2020123100018.htmlより引用)
 日本全国で45万人以上の患者がいるといわれているアトピー性皮膚炎。
その治療薬が続々と承認されています。
京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師が、新薬の特徴について解説します。
*  *  * 2021年はアトピー性皮膚炎(以下、アトピー)の新薬ラッシュとなりそうです。
すでに18年にIL−4α受容体を標的とした注射薬デュピルマブ(商品名:デュピクセント)が登場し、症状が重いアトピー患者さんに対する強力な治療選択肢となっています。
また、20年にはJAK阻害剤であるデルゴシチニブ軟膏(商品名:コレクチム軟膏)が登場しました。
さらに年末にはJAK阻害剤の内服薬であるバリシチニブ(商品名:オルミエント)がアトピーの治療薬として承認されました。
今回はこれら新薬の特徴についてアトピーの病態メカニズムを絡めて解説したいと思います。
 まずアトピーの病態ですが、三つの大きな原因が悪さをしていることが知られています。
一つ目が肌の乾燥、二つ目が免疫の異常、三つ目がかゆみです。
この三つはそれぞれが悪循環を引き起こしています。
例えば、免疫の異常がかゆみを引き起こし、ひっかくことで肌の乾燥はさらに進み、そしてまた免疫の異常を悪化させるという具合です。
 18年に登場したデュピルマブは、免疫の異常の一番の原因であるTh2サイトカインと呼ばれるタンパク質を抑える効果を有しています。
デュピルマブはIL−4α受容体をブロックする薬剤(生物学的製剤といいます)であり、Th2サイトカインであるIL−4とIL−13の作用を阻害することができます。
 このIL−4とIL−13は近年、末梢神経に直接作用してかゆみを引き起こすことが知られています。
そのため、デュピルマブを使用すると皮膚炎の改善だけでなくかゆみが軽減したと感じる患者さんが多いようです。
またIL−4とIL−13は皮膚の乾燥にも影響を与えるサイトカインですので、これらサイトカインの作用を抑えることでアトピー患者さんの乾燥肌改善の効果も期待されます。
 気をつけるべき副作用は結膜炎。
目が赤くなったり、かゆくなったりする場合があります。
デュピルマブは今までの治療法で十分な効果が得られなかった15歳以上のアトピー患者さんが対象になります。
注射の薬で2週間に1回投与が必要です。
 最近では自分でも注射しやすいペン型が登場し、病院で2〜3カ月分処方してもらうことが可能です。
注射薬は1本約6万6000円と高額ですが、自己注射として高額療養費制度を利用すればだいぶ安くなります。
患者さんご自身の保険の種類と年収で自己負担額が決まるため、正確な値段が知りたい人は病院の窓口に問い合わせてみる必要があります。
 デルゴシチニブ軟膏やバリシチニブが標的としているのはJAKという細胞内シグナルです。
このJAKはアトピーの原因であるTh2サイトカインをほぼすべてブロックできます。
Th2サイトカインはIL−4やIL−13だけでなく、IL−5やIL−31というサイトカインも含まれ、すべてがアトピーでは悪化の原因になります。
そのため、幅広くアトピーの悪化因子を抑える効果が期待されます。
 デルゴシチニブ軟膏はすでに病院で使われており、1日2回、1回5グラムまで使用可能な塗り薬です。
5グラムチューブで約700円ですので、3割負担の人で約210円の支払いになります。
私が処方している実感としては、薬の強さはステロイドのストロングクラスくらい。
プロトピック軟膏よりは少し弱い印象を受けます。
ニキビなどの副作用はありますが内臓への副作用は報告されていません。
こちらは16歳以上のアトピー患者さんが対象です。
 バリシチニブは飲み薬のJAK阻害剤です。
すでに関節リウマチでは使用されている薬剤で、さまざまなデータをみるとデュピルマブと同程度の効果が期待できそうです。
副作用として上気道感染などがあるとされており、安全面から生物学的製剤の扱いに慣れた皮膚科専門医に処方してもらうことが大事です。
こちらは内服薬ですが値段は1錠4ミリグラムが5223円。
3割の負担の人でも約1500円になります。
この薬剤はデュピルマブ同様にこれまでの標準治療で十分な効果が得られなかったアトピー患者さんが対象となります。
 同じJAK阻害剤の内服薬として、ファイザー社が20年12月9日にアブロシチニブを日本で承認申請したと発表していますし、リンヴォック錠(ウパダシチニブ、アッヴィ)も20年10月にアトピー性皮膚炎を対象疾患に申請中です。
このため21年には三つの経口JAK阻害剤がアトピー患者さんに使える予定です。
 Th2サイトカインの一つであるIL−13だけを抑える薬剤トラロキヌマブも今後登場予定です。
IL−13はアトピー悪化のさまざまな局面で作用するサイトカインですが、注目すべきは皮膚の線維化に大きく関与している点です。
皮膚炎の改善だけでなくゴワゴワした皮膚に治療効果を発揮する可能性があります。
こちらは注射薬で使用可能となりますが、薬価などは未定です。
 またIL−31というサイトカインをブロックするネモリズマブも開発が進んでいます。
IL−31はアトピーのかゆみに大きく影響していると言われているサイトカインです。
実際にネモリズマブを用いた臨床試験では、アトピー患者さんのかゆみが優位に改善するデータとなっています。
 以上のように、経口JAK阻害剤3剤を含め多くの薬剤がアトピー患者さんに使用可能となります。
それぞれの薬剤に特徴があるため、自分の症状にあった薬剤はどれか主治医と相談することが必要です。
 また、治験が進んでいる薬剤はほかにもあり、治療選択肢がぐっと広がります。
使用にあたって悩むポイントとしては、効果は優れているけれども値段が高いという点でしょう。
しかし、これに関しては高額療養費制度や会社の保険制度を活用して値段を抑えられる可能性があります。
自己判断で新薬をあきらめる前に主治医に一度相談してみることをおすすめします。
私たち皮膚科医にとってもアトピー患者さんにとってもコロナで大変な2020年でしたが、2021年は希望の年となることを願っています。
(https://news.goo.ne.jp/article/dot/life/dot-2020123100018.htmlより引用)

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