幅広い役柄こなす成田凌 主役を引き立てる“魅せる力”が突出 2021-04-04


図 この記事のタイプ傾向 (「怯え」「怯える」「恐怖」「切ない」「貧しい」「見事」「殺人」)

(https://news.goo.ne.jp/article/postseven/entertainment/postseven-1649371.htmlより引用)
 現在放送中のNHK連続テレビ小説『おちょやん』。
ヒロインの杉咲花(23才)が作品の顔として物語をけん引し、コロナ禍の朝を活気づけている。
それに大きく貢献しているのが、杉咲の相手役を務める成田凌(27才)だ。
SNSなどでは「まだ20代なのに、壮年男性の雰囲気を上手く醸し出している」といった声が多く見られ、評判は上々。
成田凌の魅力について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
 * * *「朝ドラ」といえば、個々の俳優を通して、それぞれに扮する人物の“人生”を垣間見られるのが魅力の一つ。
演じ手には、一人のキャラクターが歳を重ねることによって変化していくさまを表現する力が求められる。
20代の成田が壮年期の天海一平を演じるのは簡単ではなさそうだが、さすがはここ数年で一気に名を上げてきた俳優なだけあり、違和感なく見事に演じている。
 本作『おちょやん』は、昭和を代表する女優・浪花千栄子の生涯をモデルにしたもの。
大阪の貧しい家に生まれたヒロイン・竹井千代(杉咲花)が、自分の居場所を“芝居の世界”に見出し、やがて「大阪のお母さん」とまで呼ばれる大女優へと成長していく姿が描かれている。
成田が演じている一平は千代の夫であり、彼女が所属する「鶴亀家庭劇」の座長でもある。
つまり千代の人生に多大な影響を与える、非常に重要な役どころだ。
 成田が朝ドラに出演するのは、2017年下半期に放送された『わろてんか』に続いて今回が2度目。
同作では、葵わかな(22才)演じるヒロインと、松坂桃李(32才)演じるその夫の息子役を務めていた。
ヒロイン(主人公)の子ども役といえば、将来を嘱望される若手俳優に白羽の矢が立つことが多い。
前作『エール』(2020年)では古川琴音(24才)がそのポジションを務めたが、現在は映画にドラマなど多くの作品に出演している。
 実際、成田も『わろてんか』出演後は目覚ましい活躍を見せている。
同作にて知名度を上げた後、主に映画を主戦場として力をつけてきたように思う。
彼の代表作と呼べる作品は枚挙にいとまがない。
日本映画界の黎明期を支えた“活動弁士”に扮した『カツベン!』(2019年)や、ミステリアスなゲイの青年を好演し切ない恋物語を展開させた『窮鼠はチーズの夢を見る』(2020年)も記憶に新しく、主演として風変わりな予備校講師に扮した最新作『まともじゃないのは君も一緒』(2021年)など、立て続けに話題作に出演している。
これらの作品を経て、成田は再び朝ドラの現場に舞い戻ってきたのだ。
  朝ドラの子ども役がいかに大きな影響力を持つかは先に述べたが、主人公の相手役となれば話は違う。
今作ではヒロインを支える形で作品を率いる立場だ。
それなりに力を認められた者でなければ務まらないだろう。
成田のこの数年の躍進ぶりが、今作の“ヒロインの相手役”という形に顕れているのだと思う。
 朝ドラは、老若男女問わず視聴者層の幅が広い。
そのため出演者には、幅広い世代に伝わる演技表現が求められ、観る者すべてに的確に伝えなければならないが、成田はこの力が突出していると感じる。
思い返してみれば成田は、モデル業からキャリアをスタートさせた存在である。
モデルは、時に自分自身が主役であるが、多くの場合身にまとう衣服や手にする“商品”を主役として観る者に示さなければならない。
そこで必要とされるのは、“魅せる力”だ。
その点で成田は、モデルからスタートしたものの、そのキャリアを上手く自身の演技に取り込んでいるように思う。
先に挙げた映画作品からも分かるように、ジャンルや役のポジションを問わず、各作品に適応しているのがその証だ。
 映画『スマホを落としただけなのに』(2018年)での、一人の人物の二面性を表現した成田の演技を取り上げればさらに分かりやすいのではないだろうか。
同作で成田は、ごく普通の青年から連続殺人犯の役を演じ、表現の幅の広さを見せた。
物語の前半では、ネットストーキング被害に遭っている主人公に対し、ネットセキュリティ会社に勤めている人物として近づき、やがて後半では猟奇的な殺人鬼の素顔を見せる。
前半は恐怖に怯える主人公にスポットが当たるのだが、後半はそれに加え成田のサイコ−キラーぶりにもフォーカスしており、脇役ながらも主役と同等に前に出ていた印象だ。
 だが、同作で成田の力を感じたのは、実は前半の方。
淡々とセリフを口にし、自身が控えめな存在であることを示すことで主役を引き立てている。
ここで見せるべきは、主人公の恐怖である。
成田が“受けの芝居”に徹し、主役の存在を立てているからこそ、劇中の主人公の恐怖がより強く観客に伝わるのだと思った。
成田の俳優としての魅力はまさにこの点。
特定のシーンや瞬間ごとに“見せるべきものを的確に魅せる力”を持っているのだ。
『おちょやん』の場合、中心にいるのは常に千代を演じる杉咲だ。
成田は夫役としてフォーカスされるというよりも、彼の存在を通して千代の魅力を際立たせなければならない。
成田のように、シーンごと、ひいては作品ごとに、立てるべき存在をきちんと立てられる俳優でなければ、この千代と一平の関係は成立しないように思う。
今後は前に出てくることも増えるはずだ。
どんな“魅せる力”を披露してくれるのだろうか。
【折田侑駿】文筆家。
1990年生まれ。
映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。
(https://news.goo.ne.jp/article/postseven/entertainment/postseven-1649371.htmlより引用)

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