コロナ禍で「食事への罪悪感」増加のなぜ。健康志向がもたらす「食への責任」 2021-01-05


図 この記事のタイプ傾向 (「好み」)

(https://news.goo.ne.jp/article/newswitch/business/newswitch-25280.htmlより引用)
外出自粛期間中、スーパーの食品棚が空になった。
外食ができなくなり、テイクアウトをはじめる店が急増した。
自炊が増えた。
免疫力を高める食品が注目された――。
コロナ禍により、誰しもが大きな変化を受けたのは「食」ではないだろうか。
健康志向の急激な高まりから、食事に関し健康を維持できるかどうかが重要視される傾向が強まった。
食に課された役割が重くなっている現状が見えてきた。
(取材・昆梓紗)コロナと健康志向自粛期間中に「食事への罪悪感」が増したと回答した人は55%―マルコメ(長野市)が行ったアンケート結果だ(※1)。
コロナ太りや健康維持に配慮した食事が注目される中、健康志向がより強化された背景から、食に対する罪悪感が生まれている。
 例えば、コロナ禍では「糖質ゼロ」などの機能性ビール類の売上が伸長した。
アサヒビールでは糖質ゼロ発泡酒「スタイルフリー<生>」の販売数量が1―11月で前年比104%増。
キリンビールでも10月に発売した「キリン一番搾り糖質ゼロ」が、発売から1カ月で年間販売目標の8割を達成、目標を上方修正した。
機能性ビール類はもともと健康意識が高まりやすい40〜50代がボリュームゾーンだが、コロナ禍ではそれ以下の層が購入する動きも多くみられたという。
 「機能性ビール類の選択には、健康に配慮していると家族などにアピールする役割もあるようです」とアサヒビールマーケティング本部の山本明太郎ブランドマネージャーは明かす。
食と罪悪感を結び付けているものの顕著な例が、「ギルトフリー(ギルティフリー)」だ。
2015年頃に欧米などから考えが持ち込まれ、日本では主に、体にやさしい、健康によい、など「食べても罪悪感がない」食事やお菓子を指す言葉として定着している。
 例えば植物性代替肉としても注目を集める「大豆ミート」は、肉よりも体に優しいというイメージから、「ギルトフリー」食材として展開されるケースが多い。
2019年頃から参入企業が増え、2020年のコロナ禍で一気に拡大した。
国内の植物由来の代替肉市場は、2020年が346億円、10年後の30年には2.2倍の780億円に拡大するという予想もある(※2)。
大豆ミートを使ったメニューや商品移り変わる食のトレンドしかし、食の健康志向はコロナ以前にも盛り上がった現象だ。
なぜコロナ禍では、これほどまでに切迫感のある状況が生まれているのだろうか。
そのヒントは、食のトレンドの変化にある。
バブルに沸いた80年代中盤〜90年頃には「イタ飯」ブーム。
バブル崩壊とともに徐々に健康志向へと推移。
テレビ番組の影響もあり、ココア、赤ワインなどの健康に良いとされる食材が次々注目された。
2008年頃から徐々にまたエンタメ志向へ振り、東日本大震災を機に健康志向へ―電通PRソリューション局ソーシャルイノベーション部「食生活ラボ」では、日本人の食に関するブームを分析。
食のトレンドは数年周期で『健康』と『エンターテインメント(エンタメ)』を行ったり来たりしているという。
「食」のトレンドマップ(電通食生活ラボの資料をもとに作成) 最近では、2018年頃からタピオカブームが起こるなど、徐々にエンタメ志向へ再度移行していた。
突如その流れを断ち切ったのがコロナ禍だった。
コロナ禍では、誰しもが毎日健康を意識せざるを得ない状況に陥った。
外食が難しくなり、食のエンタメ性を楽しめる環境も少なくなった。
「エンタメ志向から一気に健康志向へと強い揺り戻しがあったため、ゆるやかな移行が起きていた時よりも健康志向に対し強迫感が高まっているようです」(同ラボの大屋洋子統括)。
電通「食生活ラボ」大屋洋子統括 コロナ禍では、食によって免疫力を高め、健康を維持しようという動きが見られた。
食ラボの調査では、「免疫力向上を意識した食事」を意識するようになった人が14.3%。
免疫力を上げるとされる食材が品薄になるなどの現象も起きた。
これには「健康の自己責任化」が強い影響を及ぼしている、と大屋氏は指摘する。
コロナ禍では、手洗いうがい、三密を避けるなど、「自分の身は自分で守る」行動を取る必要性が繰り返し強調された。
有効な手段が見えない中、より健康を強化する手段の1つとして、食がフォーカスされやすかった。
「健康に配慮した食事をしているかどうか」を配慮する傾向が強まったのだ。
一方、健康だけでなく、環境にも優しいという面から食を選ぶ動きも少しずつ増えている。
例えば、大豆ミートに使用される大豆たんぱくは、同量の畜産物を生産するよりも環境負荷が少なく、効率よく生産できる。
SDGsの観点からも商品開発に取り組む企業が増えた。
欧米ではサステナブル食をファッションの一部として取り入れる動きもある。
 日本でも、2020年7月に始まったレジ袋の有料化や、テイクアウトの増加による容器ごみの増加で、環境問題が身近になった。
さらに、コロナ禍では、世界全体や国の動きなどの情報が連日報じられ、マクロ的な視点に触れる機会が多かった。
これらにより、社会課題を自分ごととして感じられる機会が増えたのだ。
 「日本で欧米のような価値観が広まるのはもう少し時間がかかると思っていたが、コロナ禍により早まった」と、業界に先駆けて大豆ミートを販売開始したマルコメマーケティング部の其田譲治氏は話す。
「食の選択」に、自身の生活や好みだけでなく、コロナ禍によって強制力が強まった健康意識や、環境への配慮などが影響を及ぼすようになった。
「体にいい食を選ぶことは、健康に配慮する簡単な手段の1つであるとともに、心理的な負荷を下げることにもつながる」と大屋氏は指摘する。
「健康の自己責任化」や環境への配慮など、社会的な動きに対する“免罪符”としても、健康志向の食は支持されている。
(https://news.goo.ne.jp/article/newswitch/business/newswitch-25280.htmlより引用)

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