なぜトイレに行く回数は加齢で増えるのか? 旅行に行けない、夜中に起きて転倒リスクも 2022-05-10


図 この記事のタイプ傾向 (「気がある」「危険」「暗い」「心配」「すっきり」「小さくなる」「悩み」「悩む」)

(https://news.goo.ne.jp/article/dot/life/dot-2022050900004.htmlより引用)
 60代以上の排尿に関する悩みのなかで、夜間頻尿は第1位、昼間の頻尿は第2位を占めている。
旅行に行けない、眠りが浅いなど、QOL(生活の質)を左右する深刻な症状だ。
なぜ加齢とともに頻尿が増えてくるのだろうか。
*  *  * 頻尿の推定患者数は、3300万人(昼間)、4500万人(夜間)。
2003年におこなわれた大規模調査のデータに基づくもので、膨大な数字だが、現在ではその数はさらに増えていると考えられる。
 通常、成人の1日の尿量は約1500ccだ。
膀胱は300〜400ccの尿をためることができて、排尿の際には残りなく排出できる。
単純計算で、トイレの回数は1日5回程度ということになる。
 頻尿は昼間に8回以上行く場合、夜間頻尿は就寝中に1回以上行く場合と定義されている。
しかし、夜、1回トイレに起きるという人は少なくない。
そのため、臨床の場では、2回以上を夜間頻尿とすることが多い。
■尿量が増える尿をためられない なぜトイレに行く回数が増えるのだろうか。
多量に水やお酒を飲んだ、寒い時期で汗をあまりかかないなどで何度もトイレに行くのは生理的な現象だが、それ以外では、次のようなことが起きていると考えられる。
▼尿の量が増えている(多尿・夜間多尿) 尿の量が増えれば、何度もトイレに行くことになる。
この場合は、二つのタイプに分けられる。
(1)昼間〜夜間通して1日の尿量が増えている(2)おもに夜間の尿量が増えている(夜間尿量が1日の尿量の33%以上) 多尿は、水分の過剰摂取、尿量を増やす利尿薬などの服用、尿量をコントロールする「抗利尿ホルモン」の分泌量の減少などが原因となる。
また、心臓や腎臓の病気などの全身疾患から引き起こされるケースも少なくない。
▼膀胱の容量が小さくなっている 1日の尿量は正常なのに頻尿になる場合、膀胱に十分に尿がためられない「蓄尿障害」が起きていると考えられる。
 膀胱は、おもに平滑筋という筋肉でできている。
尿をためるときには膀胱の筋肉は緩み、容量は大きくなる。
排尿の際には膀胱は収縮し、尿を押し出す。
膀胱に十分に尿がたまらないうちに尿意が起きてトイレに行きたくなる「尿意切迫感」が起こると、頻尿になる。
この場合、いわば膀胱が過敏になって、過剰に反応してしまう「過活動膀胱」という病気が原因になっていることが多い。
特に女性では頻度が高い。
 また、加齢によって膀胱の筋肉が硬くなって弾力を失い、容量が小さくなることもあげられる。
 そのほか、10〜30代の若い世代の頻尿では、原因疾患が見つからない「神経性頻尿」が多い。
過度なストレスなど、心理的な誘因で起こるが、ここでは説明を省略する。
 頻尿に悩む人が増えてくるのは50代後半からだ。
膀胱の機能低下だけでなく、尿の通り道である尿道も加齢によって働きが十分でなくなることが多い。
尿道には括約筋があり、締めて尿をこらえる/緩めて排尿するという働きをしている。
日本大学板橋病院病院長の高橋悟医師は次のように話す。
「括約筋の締める力だけではなく、膀胱との協調運動がスムーズでなくなることが、頻尿などの過活動膀胱症状に関与しているのではないかと考えられています」 男性では、膀胱の出口近くに尿道を囲むようにして存在する前立腺も排尿に大きく影響する。
加齢によって前立腺が肥大する「前立腺肥大症」になると、尿が出にくいなどの排尿障害のほかに過活動膀胱を起こし、頻尿があらわれることがある。
 また、前述した抗利尿ホルモンは水分を尿として排出する前に、再度吸収して尿量をコントロールする役割をもっているが、加齢によって分泌量が十分でなくなると、尿量を減らせなくなり、特に夜間頻尿があらわれる。
■生活に支障が出たら治療を考慮する 最初に頻尿の定義をあげたが、回数は一つの目安で、生活に支障があるかないかで受診を考慮することが望ましい。
しかし、それほど困らないからといって放置していると、さまざまなリスクが高くなる。
 昼間の頻尿では、遠出や旅行ができない、人と会食していてもトイレのことばかり心配しているなどで、活動を制限してしまうことになる。
トイレの回数を減らそうと、ついつい水分摂取を控えてしまい、特に夏には脱水症の危険が高くなる。
 夜間頻尿の場合は、何度も睡眠をさまたげられるため、睡眠の質が低下し、疲れが取れない、頭がすっきりしない、昼間でも眠いなどの状態に陥りやすくなる。
 さらに気をつけたいのは、夜トイレに起きたときは転倒リスクが高いことだ。
うす暗い中で、すぐにはからだが動きにくい状態でトイレに急ぐことにより、転倒し、大腿骨頸部骨折や頭部外傷を起こしやすくなる。
夜間の排尿が2回以上の高齢者は、1回以下の高齢者に比べて転倒による骨折リスクが2倍以上になるという調査報告もある。
 夜間頻尿では、高血圧や糖尿病、心不全、慢性腎臓病などの存在が指摘されるケースも多い。
これらの全身疾患の一症状としてとらえることもできるため、放置することは避けたい。
 桜十字病院泌尿器科医長の吉田正貴医師は、こう話す。
「頻尿や夜間頻尿は、確かに高齢になると増えてきます。
しかし、男性なら前立腺肥大症、女性なら過活動膀胱など、原因となる病気があることが多く、適切な治療を受ければ改善できるものがほとんどです。
(https://news.goo.ne.jp/article/dot/life/dot-2022050900004.htmlより引用)

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