なぜ韓国はワクチン接種が速い? 背景に「スピード第一」文化、日韓コロナ対応に差 2021-03-30


図 この記事のタイプ傾向 (「注意」「新型コロナウイルス」「人情」「不安」「支援」「実現」「事故」「発見」)

(https://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2021032900039.htmlより引用)
 韓国の新型コロナへの対応は、効率的で素早い対応が目立つ。
日韓を比較して見えた制度の違いとは。
AERA2021年4月5日号から。
*  *  * 何かと比較されやすい日本と韓国。
ロイター通信は8日、新型コロナウイルス感染症ワクチンで、韓国より9日早く接種を始めた日本が、韓国に接種者数で逆転されたと報じた。
日本も接種のペースを上げているが、韓国の素早い動きは、国際社会全体でも引けを取らない。
■人口以上のワクチン 日本は2月17日、韓国は同月26日に、ワクチン接種を開始。
ロイター通信は3月5日時点のワクチン接種者の数について日本が4万6469人なのに対し、韓国は29万6380人が接種を受けたと紹介した。
 日本はその後、順調に接種者の数を増やしている。
厚生労働省によれば、3月24日時点で、2回目の接種者も含め、のべ74万1180人にのぼった。
前日比で約4万人増になり、接種が軌道に乗ってきたようだ。
4月半ばまでに医療従事者474万人の接種を終え、65歳以上の高齢者約3600万人の接種は、4月12日の週から始まる予定だ。
ただ、16歳以上の対象者全員に行き渡る十分なワクチンを確保する見通しは明確になっていない。
 一方、韓国の場合、中央防疫対策本部などの資料によれば、3月24日終了時でワクチン接種者は、2回目の接種者も含め、のべ73万5815人。
前日比2万9415人増。
総接種者数で再び、日本に追い抜かれた。
ただ、疾病管理庁は、すでに韓国の全人口を上回る5600万人分のワクチン購入を完了していると説明。
4月から一般市民向けの接種を本格化させる。
9月までに国民の7割が1回目の接種を終わらせ、11月までに集団免疫の状態に持ち込むとしている。
 韓国の新型コロナへの対応に見られる特徴の一つが、過去の教訓を生かした取り組みだ。
韓国では2015年に中東呼吸器症候群(MERS)が流行したが、その際、大規模病院での院内感染が起きた。
韓国では政府の対策不徹底を非難する声が上がった。
その前年には旅客船セウォル号沈没事故が起き、やはり当時の朴槿恵(パククネ)政権の危機管理不足を非難する声が世間から起こった。
文在寅(ムンジェイン)政権の関係者は、この非難側の急先鋒にあったため、政権発足後も危機管理では細心の注意を払ってきた。
 すでに2003年には保健福祉省の傘下に疾病管理本部を設け、伝染病の調査や管理、対策を一元化。
今回の事態を受けて、昨年9月に同本部を疾病管理庁に昇格させた。
権限が集中しているため、新型コロナの感染者の早期発見や病床確保、ワクチン管理などが効率的に進んでいる。
■自国の臨床試験なし これに対し、日本では、保健所や大学病院、研究機関などの監督権限が、厚労省や文部科学省に分かれる。
最近では、主に国立感染症研究所だけが担っている変異ウイルスの種類を調べる解析検査を巡り、自民党などから、地方機関や大学、企業などにも担わせるべきだという意見が出ているが、十分な門戸開放には至っていない。
 また、日本は過去の薬害問題の教訓などを踏まえ、ワクチンの承認にあたって国内の臨床試験を義務づけている。
現時点では、2月14日に特例承認された米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したmRNAワクチンだけが接種可能だ。
ただ、需要が逼迫(ひっぱく)しているため、域内で製造されたワクチンの輸出を事前許可制とした欧州連合(EU)の動き次第では、供給が滞る可能性もある。
 他方、韓国は海外で承認されたワクチンを自国内の臨床試験を経ずに、そのまま使用できる。
韓国は2月10日、英アストラゼネカなどが開発したワクチンを承認。
同月24日からは受託生産している韓国内の工場からの出荷も始まった。
 アストラゼネカなどが開発したワクチンを巡っては、接種後に血栓などが確認された例があるとして、独仏などが接種を一時見合わせる事態も起きた。
だが、韓国疾病管理庁の鄭銀敬(チョンウンギョン)長官が19日の国会答弁で、ファイザーとアストラゼネカのワクチンについて「効果や安全性に大きな差はない」と答弁。
鄭氏は不眠不休で新型コロナ問題への対応に当たってきた責任者で、国民の信頼も厚い。
さらに、文大統領夫妻が23日、アストラゼネカのワクチンを接種するなど、現時点で国民の不安を取り除くことに懸命になっている。
 万が一の事態を想定して、「石橋をたたいて渡る」というのが日本の伝統的な手法だとすれば、韓国のそれは「パルリパルリ(早く早く)文化」だとされる。
「漢江の奇跡」と言われる高度経済成長を実現した朴正熙(パクチョンヒ)政権が作り出した文化だ。
 この頃から、韓国の人びとにスピード第一という意識が定着していったとされる。
実際、昨春ごろから、韓国世論は「一刻も早くワクチンを入手せよ」という声で一色になっていた。
国内臨床試験を行うかどうかの判断も、こうした、よく言えば迅速果敢、悪く言えば猪突(ちょとつ)猛進ともいえる韓国の文化が新型コロナ対策にも影響しているようだ。
■13ケタの住民番号 また、いち早く獲得したワクチンの素早い接種に役立っているのが、住民登録番号だ。
やはり、朴正熙政権時代に北朝鮮からのスパイを発見するためなどとして、68年から制度化された。
韓国の人びとには13ケタの固有の番号が与えられている。
韓国の知人は「住民登録番号には、様々な個人情報がぶら下がっている。
誰でも閲覧できるわけではないが、権限があれば、その個人がいつ、どの病院でどんな治療を受けたのかという情報も引き出すことができる」と言う。
 年齢や既往症の有無などを迅速に判断できるため、ワクチン接種のスピードが上がるというわけだ。
韓国メディアによれば、韓国政府は、ワクチン接種の証明書をデジタル化し、携帯電話のアプリを通じて入手や提示ができるようにする方針だという。
 日本は現在、飲食店の営業時間を制限する代わりに、一律の支援金を支給している。
ただ、専門家の間では「あまりに硬直的で無駄も多い。
事前に抗原検査を受ける仕組みにして、柔軟に営業を認めても良いのではないか」という声も出ている。
韓国では今後、飲食店に入店する前に、携帯電話を通じて接種証明書を提示することで、柔軟な利用が可能になりそうだ。
(https://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2021032900039.htmlより引用)

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