また、代わりに使用するように求められた衛星電話は、事故当時、故障していたことも判明した。
知床遊覧船が、海上運送法に基づき届け出た安全管理規程では、船長と運航管理者らとの連絡手段として、衛星電話、携帯電話、業務用無線の3種類を用いると定めていた。
このうち、携帯電話は航路の大半が電波の圏外だったとされており、3種の手段は、いずれも何らかの不備があったことになる。
国交省関係者によると、カズワンは昨年5〜6月に2度の事故を起こし、同省が同6月に特別監査を実施。
その際、混線の恐れがあるアマチュア無線を使用していることを確認した。
船舶安全法では、小型旅客船の通信設備として認めておらず、衛星電話を使うよう行政指導した。
しかし、知床遊覧船の桂田精一社長(58)によると、衛星電話は今回の事故前に故障しており、事故当日、カズワンには積んでいなかった可能性が高い。
一方、カズワンは、今回の事故の3日前にあたる今年4月20日の船舶検査で、連絡手段を衛星電話から携帯電話に変更していたことがわかっている。
しかし、この携帯は航路の大半が通話エリア外で、事故当日のカズワンからの118番は、乗船名簿に記載された男性の携帯電話番号から発信されていた。
こうした状況から、結果的に、知床遊覧船が安全管理規程で定めた三つの連絡手段は、いずれも事故当時、機能しなかった可能性が高い。
知床遊覧船を巡っては、事務所の無線アンテナが破損し、事故時は交信できない状況だったことも判明しており、国交省では、今回の事故後に実施している特別監査で、一連の経緯について詳しく調べている。
(https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20220509-567-OYT1T50212.htmlより引用)