第1回口頭弁論が9日、東京地裁立川支部(佐藤重憲裁判長)で開かれ、病院側は請求棄却を求めた。
訴状によると、女性はうつ病と診断され2017年2月から任意で入院。
新型コロナの大規模なクラスター(感染者集団)が発生した21年3月に感染した。
和室形式の病室で同10〜20日、他の感染者5人ほどと一緒に外から南京錠をかけられ、法令上の根拠なく監禁された。
部屋は簡易トイレが一つだけ置かれ、入浴も歯磨きもできない劣悪な環境で、「人間的な尊厳を否定される苦しみを味わった」としている。
さらに、女性はうつ病の病状回復後に退院を申し出ていたのに、病院が適切な支援をせず入院が4年5カ月と長期化したと主張。
この点も請求額に盛り込んだ。
弁論後に記者会見を開いた原告側弁護団は、精神保健福祉法に基づき厚生労働相が定める基準では、やむを得ず患者を隔離する際には個室で行う必要があり、同室に複数の患者を閉じ込めることは認められていないと指摘。
幡野博基弁護士は「コロナ陽性になった入院患者の人権が蹂躙(じゅうりん)されることはあってはならない。
患者の退院についての自己決定権の重要性も訴訟で示したい」と話した。
一方、病院側は代理人弁護士を通じ、「係争中で取材に応じられない」とコメント。
都精神保健医療課は、事案を把握していたかの質問に「個々の病院への指導の内容は答えられない」と回答した。
(https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20220510k0000m040021000c.htmlより引用)