甲府駅近くにある一軒の名物店が店をたたんだ。
「まぐろ家(や)じん」 コロナ禍で先が見えないことが大きかった。
店主の神宮寺義仁さん(71)は、つぶやく。
「困っている人はもっといるはず。
政治は、そこに目を向けてほしい」 頭からしっぽまで、マグロをまるごと食べてもらいたい――。
マグロ好きの山梨をアピールしようと、夫婦で1992年、市内に店を開いた。
10年ほどして駅南口から数分の路地に移転した。
2008年、仲間と一緒に商店街組合をつくり、その通りの名前を「ちょうちん横丁」に変えた。
マグロ料理だけで30品以上。
メニューは豊富だ。
仕入れた素材を余すことなく使う鍋も人気だった。
多い時は1日20万円以上を売り上げ、マグロ好きの客でにぎわった。
しかし、感染の拡大で様相は一変した。
昨年4、5月は休業。
6月から再開にこぎつけたが、持続化給付金も夏には底をつき、厳しい状態が続いた。
店内には手作りの飛沫(ひまつ)防止シートを備え、助成金で扇風機や空気清浄器も購入した。
感染症対策に気を配り、山梨県のグリーン・ゾーン認証も取得した。
けれど常連以外、ついに客足は戻らなかった。
(https://news.goo.ne.jp/article/asahi_region/nation/asahi_region-ASP1C72GJNDXUZOB003.htmlより引用)