変異株3種「五輪開催」で流入加速の恐れ 英国株は死亡率6割増、南ア株はワクチン効果に懸念 2021-03-31


図 この記事のタイプ傾向 (「新型コロナウイルス」「死亡」「恐れ」「気になる」「懸念」「発表」「疑い」)

(https://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2021033000009.htmlより引用)
 国内でも感染力や重症化率の高い変異ウイルスが急増している。
五輪開催にあたり、海外からの観客を受け入れなくても、渡航者増が見込まれる。
AERA2021年4月5日号から。
*  *  * 厚生労働省によると、空港検疫を除いて国内で見つかった変異株への感染者は、3月9日時点で271人だったのが16日には399人(128人増加)に、23日には549人(150人増加)と右肩上がりに増加している。
23日時点で疑いのある人が累計792人いる。
 ウイルスの変異は一定の頻度でランダムに起きるので、すでに大量の変異株がある。
世界保健機関(WHO)はそのうち、感染力や増殖能力が増したり、重症化率や死亡率を上げたり、ワクチンの効果を下げたり、一度感染した人に再感染を起こす可能性があったりするような、社会に大きな影響を及ぼしかねない変異を持つウイルスを「懸念される変異株」と呼んでいる。
 現時点で懸念される変異株は3種類ある。
英国で最初に見つかった「英国株」と南アフリカで最初に見つかった「南ア株」、ブラジル・日本で最初に見つかった「ブラジル株」だ。
 WHOによると、南アではすでに新規感染のほぼ100%が南ア株に置き換わり、英国では4月までにほぼ100%、ブラジルでは4月までに75%程度が置き換わるだろうという。
■英国・南アは病原性高 3種類とも国内で感染者が見つかっている。
前述の変異株への感染者数は3種類への感染者だ。
3月23日時点では英国株が501人、南ア株が13人、ブラジル株が35人だった。
 実際にはもっと広がっている可能性はある。
現在の検査は、まず自治体が感染者の5〜10%に簡易PCR検査。
変異株に感染の疑いがあれば検体を国立感染症研究所に送り、ウイルスの遺伝子配列を解析している。
 神戸市は独自の方針で1月から変異株検査をしており、2月以降は新規感染者の6割強を調べている。
1月1〜28日までは変異株への感染者はゼロだったが、1月29日〜2月4日には調べた4.6%から英国株への感染が確認され、次の1週間では10.5%……と増加の一途。
3月5〜11日には検査をした55.2%が英国株に感染していた。
 3種類とも、感染力が従来のウイルスよりも強まっているとみられる。
ブラジル株についてはまだ詳細はわからないが、少なくとも英国株と南ア株は、重症化率を左右する病原性も高まっていると考えられている。
 英国株は、従来株に比べて感染力が4〜7割程度高い。
一時期、英国株は従来株より子どもが感染しやすいと指摘されたが、英国政府の専門家会合の小児分科会は2月、「変異株は感染力が上がっているが、(子どもを含め)特定の年代に対してとくに感染力が上がっているわけではない」という結論をまとめた。
 英国株の病原性について、英ブリストル大学などの研究チームが「BMJ(英国医師会雑誌)」に発表した論文によると、2020年10月〜21年1月までに感染した約5万5千人の分析では、英国株への感染者のほうが死亡率が64%高かった。
■ワクチン効果への懸念 南ア株は感染力が50%程度、死亡率も20%程度増加するという報告がある。
ブラジル株についてはまだ確実なデータはないが、WHOによると感染力が2.5倍になるとの報告がある。
 変異株は、ワクチンが効かなくなる、あるいは一度感染した人が再感染する恐れもある。
ワクチンの効果が薄れたり、再感染が起こったりすれば、新型コロナウイルスの流行がなかなか収束しないことになる。
 米疾病対策センター(CDC)によると、現時点では、ワクチンの効果についてもっとも懸念されるのは南ア株、懸念が少ないのは英国株だという。
 ブラジル株は、従来株に感染した人の再感染がすでに報告されている。
WHOによると、予備的なデータではあるものの新規感染者の6.4%が再感染だという報告があるという。
 変異の多くは、新型コロナウイルスの表面にある「スパイク(S)たんぱく質」の遺伝子にある。
たんぱく質はアミノ酸がつながってできている。
懸念される3種類の変異株が共通して持つ変異「N501Y」は、501番目のアミノ酸がアスパラギン(N)からチロシン(Y)に変わっている。
ウイルスが感染する時にヒトの細胞表面のたんぱく質と結合する部位にあるため、感染力が変化すると考えられている。
■海外から流入の恐れ 南ア株とブラジル株にある変異「E484K」はグルタミン酸(E)がリシン(K)に変わっている。
この変異があると、ワクチンや感染によりできた従来型のSたんぱく質に対する「中和抗体」の一部が結合できなくなり、ウイルスが中和抗体の攻撃をかわして生き延びるため、「免疫回避の変異」と呼ばれる。
 3種類の変異株は変異が何種類も蓄積しており、複数の変異の複合的な作用でウイルスの性質が変化すると考えられる。
 政府は3月25日現在、日本人や永住者と配偶者や子どもらを除き、実質的に国外からの入国をすべて拒否しており、入国者数は1日3千人弱だ。
 しかし、もしオリンピックが開催されれば、海外からの観客は受け入れなくても、今の何倍も渡航者が訪れるのは間違いない。
そうすれば、海外から変異株が入ってくる可能性が高まる。
 現状では、国内における変異株の動向すらうまく追えていない。
国内のPCR検査件数は多くても1日10万件程度で、遺伝子の配列の解析は原則として陽性患者の5〜10%だ。
「変異株対策には、国外からの流入と、国内での新たな変異株の出現の両方を追跡調査し、疫学的な流行状況の分析とあわせて総合的に判断する体制を強化する必要がある」 英インペリアル・カレッジ・ロンドンの小野昌弘准教授(免疫学)はこう指摘する。
人口が日本の約半分の英国では、1日約70万件のPCR検査をし、その1割を目標に遺伝子配列を解析しているという。
しかも、特定の地域で急激に感染者が増加するなど疫学的に気になる傾向と、遺伝子の解析結果を統合的に分析する体制ができているため、早い段階で、英国株の登場を検知することができた。
 国内での新たな変異株が登場するのをなるべく防ぐには、「一定の頻度で変異が生じることを考えれば、ウイルスの複製回数を抑える、つまり流行を抑えるしかない」(小野准教授) つまりは3密の回避、マスクの着用といった従来の感染対策の継続が重要になる。
(https://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2021033000009.htmlより引用)

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