岸田首相がもくろむ参院選後の新たな政権の枠組みとは? 「自公国」路線で「岸田1強」なるか 2022-05-09


図 この記事のタイプ傾向 (「新型コロナウイルス」「安定」「懸念」「幸せ」「不安」「誇る」「事故」「協力」「異例」)

(https://news.goo.ne.jp/article/47news_reporters/politics/47news_reporters-20220502202400.htmlより引用)
 岸田文雄首相が国民民主党との関係構築を進めている。
夏の参院選後に新たな政権の枠組みをつくる狙いがあるとみられ、将来的には「岸田1強」の土台にもなる。
だが、参院選への不安要素は少なくなく、勝利は決して確約されていない。
(共同通信編集委員・内田恭司) ▽産別労組に照準 「参院選は大変重要な選挙になる。
地元の声も聞かせていただきながら、政治の安定のためにぜひとも力添えをお願いしたい」。
岸田文雄首相は4月16日、自民党山形県連の政経セミナーに、わざわざオンラインでメッセージを寄せて訴えた。
 岸田政権は、深刻さを増すロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス感染といった懸案に直面しており、適切に対応するにはまさに「政治の安定」が必要だ。
 山形で党執行部は、国民民主党現職の舟山康江氏に対抗馬を立てない方向だ。
同党との協力関係を進めるためだが、「不戦敗」への県連の反発は強い。
そこで首相が自民党総裁として、「政治の安定」を引き合いに理解と協力を求めたのだ。
 国民は昨年12月、自民、公明両党と憲法審査会の論議促進で一致した。
今年に入ると玉木雄一郎代表が主導する形で、ガソリン高対策を巡る与党との3党協議をスタート。
野党でありながら2022年度予算案には衆参両院で賛成した。
 実は首相にとって、国民と連携を深める利点は少なくない。
参院選の行方を左右する32の1人区で、野党共闘にくさびを打ち込み、議席数の底上げを狙うことができる。
実際、立憲民主党と共産党は国民民主への不信感を高め、共闘は崩壊寸前だ。
 さらには、何かとギクシャクしがちな公明党をけん制する思惑もあるだろう。
連合傘下で国民民主から組織内候補を出しているUAゼンセンや自動車総連、電機連合、電力総連といった、民間産業別の大規模労組を引き込むこともできそうだ。
 仮に「自公国」の枠組みができても、国民民主は少数政党であり、国会勢力はそれほど増えるわけではない。
だが、産別の大規模労組が味方に付くなら、もともと安全保障を含めて政策も近いだけに、首相が言う「政治の安定」には確実につながる。
 自民党岸田派の幹部は「UAゼンセンだけで構成員は公称で180万人もいる。
民間労組の取り込みこそが、連携強化の最大の狙いだ」と話す。
 政府は5月中にも22年度補正予算案を提出する。
通常国会の会期終盤には野党が内閣不信任決議案を出す可能性がある。
国民民主が補正予算案に賛成し、不信任案には反対した場合、「ほぼ与党」になったと言っていい。
その先には3党連立も見えてくる。
 ▽参院選勝利なら長期政権に 実際、参院選に勝てば政権基盤が固まり、岸田首相は念願の本格政権を手に入れる。
「自公国」路線を取るなら足元はより強固となり、政策の推進力は強まるだろう。
 首相としては、起業家と中間層の育成を目的とする「新しい資本主義」構想など、自身の経済政策を進める構えだ。
4月28日、政府の関連会議で6月に実行計画を示す考えを重ねて示し「成長の恩恵を地域に還元し、一人一人の幸せにつなげる」と述べた。
 増大する中国や北朝鮮の脅威を踏まえた防衛力強化も喫緊の課題だ。
首相は4月27日、防衛費倍増と「反撃能力」の保有を求める自民党安全保障調査会の提言を受け取った。
 電力需給ひっ迫を受けての原発再稼働の推進では、それこそ電力総連と一丸となって国民世論に訴えたいだろう。
先の岸田派幹部は「世界最大級の出力を誇る東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に道筋を付けられるかどうかだ」と話す。
 難題も多いが、首相がこうした課題で実績を積み重ねていけば、2024年秋の自民党総裁選での再選と、長期政権も視野に入る。
永田町では「25年夏の衆参同日選と憲法改正のトリプル投票もあり得る」といった気の早い観測も流れる。
 だが、首相が描く青写真の通りに進むのか、見通せているわけではない。
内閣支持率と逆の相関関係にあるとされるコロナの新規感染者数は、全国でなお3万人を超える日もある。
この先、より感染力の強い変異株が現れて「第7波」に見舞われないとも限らない。
 ロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈しており、国民生活への影響が表れてきている。
夏以降は、エネルギー価格のさらなる上昇や食料品の値上げなどによるインフレの加速化が懸念されており、経済への不安はいやが応でも増す。
 なし崩し的に「自公国」路線に進み、かつてのような「1強体制」にならないかとの疑念もある。
「政治の安定」とは裏表の関係ではあるが、1強体制が国会を軽視し、説明責任を果たさない政治に陥りやすいのは、過去の事例から明らかだ。
 岸田政権はボトムアップを重視するスタイルであり、官邸主導で時には半ば強引に政策を押し進めた安倍政権とは違うとの指摘もある。
だが、首相官邸に事務次官経験者が4人もいる政権は異例だ。
「岸田1強」への態勢は、実は整っている。
 自民党の選対関係者は、こうした懸念が参院選で顕在化すれば「思わぬ苦戦を強いられ、改選54議席を下回ることもありうる」と率直に認める。
公明、国民民主両党も不調に終われば政権基盤がいっそう揺らぎ、自公国路線そのものが霧消する展開もありうる。
 ▽参院選前に補正予算を組むと大敗? 内閣支持率は60%前後と高く、立憲民主党内では選挙での敗北を折り込み、早くも後任代表の名前が取り沙汰される状況だ。
だが、先に挙げたような懸念がある以上、首相は参院選勝利と政権維持に神経をとがらせる。
今回の補正予算案編成に難色を示したのは、そのためだ。
 参院選対策を念頭に公明党が編成を強く求めたが、首相は当初、「予備費を活用すればいい」と応じなかった。
選挙前に予算委員会を開けば、野党に政権追及の「見せ場」を作らせることになる上、自らの政策をアピールする場に使われるからだ。
 「国政選挙前に補正予算を組むと負ける」とのジンクスもある。
過去に宮沢、橋本、麻生の各内閣は補正予算成立後の国政選挙で大敗し、政変につながった。
 4月23日、首相は北海道・知床沖での遊覧船の海難事故を受け、訪問先の熊本市での宿泊を急きょ取りやめ、帰京した。
29日には連合のメーデー中央大会に松野博一官房長官を派遣した。
「的確な対応」(政府関係者)に首相の細心ぶりが透ける。
 参院選まで2カ月。
首相は自公国路線による本格政権を見据え、勝利への軌道を踏み外すことなく維持していけるのか。
思わぬつまずきをきっかけに政権が揺らぎ、参院選で苦杯をなめることになるのか。
首相が最大の関門を迎えようとしている。
(https://news.goo.ne.jp/article/47news_reporters/politics/47news_reporters-20220502202400.htmlより引用)

関連記事