菅野智之“NPB初の年俸10億円”だとしても…イチロー“初5億円超え”以降広がる「経済格差問題」とは 2021-01-13


図 この記事のタイプ傾向 (「苦しい」)

(https://news.goo.ne.jp/article/numberweb/sports/numberweb-846625.htmlより引用)
 元日にアメリカに渡った巨人の菅野智之だが、MLBとの契約を果たすことができなかった。
巨人には朗報ではあるが、菅野にとっては思うところがあるだろう。
 菅野の代理人は、2019年西武からマリナーズに移籍した菊池雄星と同じ4年5600万ドル程度を希望したようだが、応じた球団はなかった。
菅野の実績を考えれば法外な額とは言えないが、新型コロナ禍で未曽有の混乱の中にあるMLBは、新戦力として菅野を獲得する余裕はなかったのだ。
 アメリカの報道では、巨人は菅野に対し4年4000万ドル程度の提示をしたという。
その上、菅野の意思で年度ごとに契約を打ち切ることができるオプトアウトの条項が付帯された、とも。
 巨人の破格の条件提示もあって、菅野は思い直したとされる。
その後の報道では、菅野は「1年契約」を希望したともされている。
 情報を総合すれば、今季、巨人に残留する菅野は1000万ドル程度の年俸を手にすることになりそうだ。
1000万ドルと言えば、ざっと10億円。
これはNPB史上最高年俸だ。
5億円超の名選手たち、成績を見てみると 報道において5億円以上の年俸で更改したとされるNPBの日本人選手は、2021年1月時点で延べ33人いる。
年を追って彼らの成績を見てみよう。
※はMLB移籍の前年、◎はMLBから復帰した年で、成績のカッコは打者が打率順位、投手が防御率順位(それぞれ規定打席、規定投球回以上のみが対象)である。
2000年イチロー5億3000万円(オリックス)27歳※105試395打153安12本73点21盗率.387(1)2002年松井秀喜6億1000万円(巨人)28歳※140試500打167安50本107点3盗率.334(2)MVP2002年中村紀洋5億円(近鉄)29歳140試511打150安42本115点2盗率.294(9)2003年中村紀洋5億円(近鉄)30歳117試381打90安23本67点1盗率.236(30)2004年佐々木主浩6億5000万円(横浜)36歳◎25試1勝2敗19SV22.2回率3.182004年中村紀洋5億円(近鉄)31歳※105試387打106安19本66点0盗率.274(27)2005年佐々木主浩6億5000万円(横浜)37歳9試0勝3敗4SV6回率9.002005年城島健司5億円(ソフトバンク)29歳※116試411打127安24本57点3盗率.309(7)日本初の5億円はイチロー、続くは松井 NPB最初の5億円プレイヤーは2000年のイチローの5億3000万円だ。
イチローが翌年にMLBに移籍すると2002年に松井秀喜が6億1000万円でイチローの記録を更新する。
しかし松井も翌年にはMLBに移籍した。
 2004年にはMLBマリナーズで活躍した佐々木主浩が横浜に復帰し、6億5000万円でこの記録を更新。
佐々木はMLBの最終年に800万ドル(当時のレートで約9.6億円)をもらっていたからそれを考慮して調整された年俸額だろう。
2005年限りで佐々木は引退している。
 また中村紀洋、城島健司もMLB移籍前年までに5億円に達している。
NPBひと筋の野手だと松中と金本が……2006年松中信彦5億円(ソフトバンク)33歳131試447打145安19本76点2盗率.324(1)2007年金本知憲5億5000万円(阪神)39歳144試533打141安31本95点1盗率.265(27)2007年松中信彦5億円(ソフトバンク)34歳123試440打117安15本68点1盗率.266(26)2008年金本知憲5億5000万円(阪神)40歳144試535打164安27本108点2盗率.307(12)2008年松中信彦5億円(ソフトバンク)35歳144試538打156安25本92点3盗率.290(13)2009年金本知憲5億5000万円(阪神)41歳144試518打135安21本91点8盗率.261(20)2009年松中信彦5億円(ソフトバンク)36歳126試448打125安23本80点2盗率.279(18) 2006年、2007年と国内残留組の松中信彦、金本知憲が5億円プレイヤーに。
MLB移籍に絡まない5億円プレイヤーだが、MLB移籍組の年俸上昇に引きずられたという見方ができるだろう。
投手では杉内、金子がMLB移籍せずに大台突破2011年ダルビッシュ有5億円(日本ハム)25歳※28試18勝6敗0SV232回率1.44(2)2013年杉内俊哉5億円(巨人)33歳24試11勝6敗0SV153回率3.35(10)2014年阿部慎之助6億円(巨人)35歳131試459打114安19本57点1盗率.248(27)2014年杉内俊哉5億円(巨人)34歳26試10勝6敗0SV159.1回率3.16(5)2015年金子千尋6億円(オリックス)32歳16試7勝6敗0SV93回率3.192015年杉内俊哉5億円(巨人)35歳17試6勝6敗0SV95.2回率3.95 2011年のダルビッシュは成績を見てわかるように、対戦相手なら“嫌になるほど強かった”という印象だったが、翌年、ポスティングシステムでレンジャーズに加入する。
一方で2013年、杉内がMLB移籍に絡まない投手としては初めて年俸5億円に達した。
 2014年オフ、金子千尋はMLB挑戦を表明したが、オリックスは4年総額20億円+出来高で金子と契約。
ただし金子は4年間で1桁勝利3回と苦しい成績だった。
2016年金子千尋6億円(オリックス)33歳24試7勝9敗0SV162回率3.83(10)2016年黒田博樹6億円(広島)41歳24試10勝8敗0SV151.2回率3.09(7)2017年金子千尋6億円(オリックス)34歳27試12勝8敗0SV184.1回率3.47(9)2018年金子千尋6億円(オリックス)35歳17試4勝7敗0SV100回率3.872019年菅野智之6億5000万円(巨人)30歳22試11勝6敗0SV136.1回率3.892019年柳田悠岐5億7000万円(ソフトバンク)31歳38試128打37安7本23点4盗率.2892019年坂本勇人5億円(巨人)31歳143試555打173安40本94点5盗率.312(5)MVP2020年柳田悠岐5億7000万円(ソフトバンク)32歳119試427打146安29本86点7盗率.342(2)MVP2020年菅野智之6億5000万円(巨人)31歳20試14勝2敗0SV137.1回率1.97(3)MVP2020年坂本勇人5億円(巨人)32歳115試412打119安19本65点4盗率.289(10)2021年柳田悠岐5億7000万円(ソフトバンク)33歳2021年坂本勇人5億円(巨人)33歳 2016年の黒田博樹はヤンキースでは1600万ドルを得ていたが、2015年に広島に復帰して4億円、そして翌年に6億円に昇給した。
この復帰は「男気」と言われたが、広島にとっては目いっぱいの“誠意”だったのだろう。
黒田はこの年限りで引退している。
坂本、柳田、菅野もすでに大台を超えている なおここ近年では、国内組の坂本勇人、柳田悠岐も5億をオーバーした。
また2018年、2年連続で沢村賞に輝いた菅野智之は、4億5000万円から6億5000万円に。
2004年の佐々木主浩と肩を並べている。
 これを眺めてわかるのは、NPBの「5億円以上」という年俸は「MLBの高額年俸との格差を調整する」ために設定されることが多いということだ。
NPBで5億円超は「採算度外視」的な側面も 国内でプレーする選手からも5億円プレイヤーが出てきたが、率直に言って「年俸5億円」は、今のNPBの経済規模では割に合わない。
NPB球団の年俸総額は多くて50億円前後だ。
好成績を挙げた選手全員に5億円を支払っていたら、球団がつぶれてしまう。
端的に言えば「採算度外視でできる最大限の評価」であり「天井」だと言えよう。
 日本初の5億円プレイヤーは前述のとおり2000年イチローの5.3億円だが、この年のMLBの最高年俸はドジャース、ケビン・ブラウンの1571万ドル。
当時のレートで17億3000万円、その差は3.2倍ほどだった。
 しかしMLBの年俸は以後、天井知らずで上昇し続けた。
2001年にはレンジャーズのアレックス・ロドリゲスが2200万ドル、2009年にはヤンキースに移籍したアレックス・ロドリゲスが3300万ドル、2019年にはナショナルズのスティーブン・ストラスバーグが3833万ドルに。
日本人選手の最高額は前述のとおり2004年に横浜の佐々木主浩、そして2019年に巨人の菅野智之が得た6億5000万円である。
 2019年のレートでは、ストラスバーグの年俸は約42億1000万円、巨人菅野とは7倍近い差が開いている。
 全体を見ても2020年のMLB選手の平均年俸は4.7億円、NPBは4000万円弱。
平均でも10倍以上の格差だ。
経済格差があるからMLB移籍が止まらないのでは 結局、この経済格差があるから、NPBトップクラスの選手のMLBへの移籍が止まらないのだ。
日本でトップに上り詰めた選手は、成績を挙げても年俸はほとんど上がらない。
MLBに移籍すれば、5億円〜6億円は並みの選手の年俸だ。
ローテーション入りすれば10億円は固い。
活躍すればダルビッシュ有のように2200万ドルもの年俸も夢ではない。
 今世紀に入って、MLBはインターネットも駆使して放映権やフランチャイズ、ライセンスなどのビジネスを拡充させて、どんどん経済規模を広げてきた。
NPBもソフトバンクなどがボールパーク化を進め、地域密着型のビジネスを成功させたが、スケール感が全く違う。
 ある意味で経済的に低迷する日本と、発展を続けるアメリカの「格差」が端的に表れているということになる。
“世界一客が入る”NPBは価値を最大化できるか 2019年の段階でNPBの公式戦の平均観客動員は、3万928人、MLBは2万8660人。
NPBは世界一お客が入るプロ野球リーグになっていたが、MLBとの年俸格差は10倍以上に広がっているのだ。
 新型コロナ禍で、MLBも甚大な経済的損失となった。
立て直しは容易ではないが、旺盛な事業意欲がある組織だけに、新たなビジネスモデルをどんどん創出するだろう。
 NPBも守りの姿勢ではなく、機構、球団、選手の「価値の最大化」のために、そして人材流出を食い止めるために――コロナ禍が明ければ新たなビジネスに真剣に取り組むべきだろう。
(https://news.goo.ne.jp/article/numberweb/sports/numberweb-846625.htmlより引用)

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