志願者数は立教大が“一人勝ち”、早大の看板学部は30%減 入試改革が分けた明暗 2021-04-04


図 この記事のタイプ傾向 (「得意」「期待」「異例」)

(https://news.goo.ne.jp/article/dot/life/dot-2021040200006.htmlより引用)
 大学入学共通テストの初年度となった2021年度入試では、早稲田大学をはじめ有力な私大が独自入試改革も実施した。
ただ、志願者数だけを見ると明暗が分かれた格好だ。
AERA2021年4月5日号の記事を紹介する。
*  *  * 入試改革初年度といわれた2021年度入試。
私立総合大学の多くが一般選抜の志願者を1割以上減らすという異例の展開となった。
駿台教育研究所進学情報事業部部長の石原賢一さんはその理由を「既卒生の減少が大きい」とし、こう指摘する。
「今年はセンター試験から大学入学共通テストに変わるなど、変化を嫌って既卒生が2万人減少しました。
既卒生は1人当たりの出願数が多いため影響が大きかったのです」 早慶上理、MARCHの一般選抜志願者数を昨年と比べると、早稲田大、東京理科大、青山学院大、法政大の減少幅が大きい。
石原さんは「コロナの影響で受験生が併願を絞ったため、併願が多い大学で減少しました。
法政大はその影響でしょう」と話す。
■早大政経は数1A必須 今年注目されたのが、一般選抜を刷新した大学、学部の志願者動向だ。
早大の政治経済学部、上智大、青山学院大、立教大などが該当する。
とりわけ関心を集めたのが、早大で最も難易度が高い看板学部の政治経済学部だ。
学部別の志願者は、前年度より約30%減少した。
前年度までは個別試験で外国語と国語が必須、日本史・世界史か数学を選択する、いわゆる私立文系型の3教科入試だったが、今年度は、大学入学共通テストの外国語、国語、数学1・A、選択の4科目と学部の独自試験の併用方式に変わった。
共通テストは数学の1・Aが必須となり、独自試験は日英の両言語による長文を読み解く総合問題に変わった。
定員も450人から300人と大きく減らした。
特に注目は数学の必須化だ。
同学部広報担当教務主任の荒木一法准教授は、次のように話す。
「統計学を必修化するなどカリキュラム改革が先行し、入試はそのアドミッションポリシーによる変更です。
現代の経済学、政治学は統計学、ミクロ経済学、ゲーム理論の基礎を押さえておかないと、理解できないテキストや論文があります。
受験生には、数学の基本を理解しておくことが重要だというメッセージとして受け取ってほしい」 入試に詳しい教育ジャーナリストの神戸悟さんは、「おそらく他大の経済学部でも抱えている問題では」とし、早大政経学部の改革をこう評価する。
「数学の基礎がないと経済学は学べない。
政治学もデータ分析などで必要。
志願者を減らしたものの、ほしい学生を取れたのではないか」 浅野中学・高校(横浜市)は毎年、早慶に100〜150人の合格者が輩出する進学校。
進学指導部の小林俊洋教諭は言う。
「今年は東大コースの生徒を中心に、政経学部の受験者が増えた。
例年東大志望の生徒は併願校を絞ることが多いのですが、今年はコロナの影響で安全志向が働いたようだ。
政経学部に現役合格した24人のうち、東大文系コースが22人。
昨年は現役合格者18人のうち東大コースは13人だったので明らかに増えている。
逆に私立文系の生徒からは敬遠されました」■青学は従来型では増加 一方、学部独自の論述問題は特別な対策はしていないという。
「初年度なので、サンプル問題を希望者に解説する程度でした。
ただ上位層の生徒は、従来型の学習で十分対応できていたようです」 青山学院大も志願者を大きく減らした。
学部ごとに受ける「個別学部日程」は経済学部を除き、共通テストと論述や総合問題との併用方式を導入した。
その「個別学部日程」が43%減だったのに対し、従来の、全ての学部で同日に同一試験を行う「全学部日程」は7%増と対照的な結果になっている。
阪本浩学長は言う。
「共通テストで基礎学力をはかり、学部独自問題で思考力や判断力、表現力を見ることが入試改革の目的。
大きく方式を変更するので志願者減は想定していましたが、全く予想外だったコロナが減少に拍車をかけました。
高校には、普段の授業をしっかりと受けていれば対応できる内容だということを伝えていきたい」 神戸さんは「方向性は正しい」と理解を示しながらも、「受験生は複数の大学と併願し、私立文系だったら英語、国語、地歴の3科目で受験するのが主流。
青山学院大法学部法学科は、国語と世界史と日本史と政経の総合試験を出題すると予告があったが、併願を念頭に勉強する受験生にとっては負荷が大きかったのでは」とみる。
 一方で大学側の意図をくみ取って、対策をした高校もある。
昨年と今年、同大に80人近い合格者を出した神奈川県立厚木高校の矢野悟教頭は「本校は以前から学校をあげて思考力、判断力、表現力の育成に力を入れており、青山学院大を含めた新しい入試制度への対応がうまくいった」と話す。
■立教は独自英語を廃止 新たに共通テストを利用したのが上智大だ。
青山学院大と同様、共通テストと学部学科試験の併用方式を導入した「個別学部日程」の志願者は減らしたものの、共通テストの得点のみで合否を判定する方式を新たに設けたことで、大学全体の志願者は昨年を若干上回った。
 大胆な入試改革が奏功し、昨年比約107%と志願者を増やしたのが立教大だ。
ポイントは二つ。
一つは独自の英語試験の廃止だ。
文学部を除き、英語資格・検定試験のスコア、もしくは共通テストの成績を利用する。
英語資格・検定試験は英検やGTECなど7種が利用でき、出願期間初日からさかのぼって2年以内のスコアを有効にしている。
複数のスコアを使って出願すると、独自換算で最も高得点のスコアが採用される。
立教大入学センター入試広報担当課長の和田務さんは、その狙いを次のように語っている。
「本学では20年度から、1年生全員を20人の少人数クラスに振り分け、英語のディベートを行う授業を必修化しました。
新しい英語カリキュラムで学ぶためには、4技能をバランス良く身につけていることが求められるが、大勢の受験生が受ける大学入試で測るのは難しい。
そこで英語資格・検定試験の活用に踏み切りました」■思考型問題は意義深い もう一つが受験機会の大幅な拡充だ。
一般入試を「全学部日程」方式に変更。
受験生は複数設けられた試験日のなかから自由にチョイスできるようになった。
この方式により、文系学部は最大5回(文学部は6回)受験することができ、他大学との併願も格段に組み入れやすくなった。
 試験日をすべて「全学部日程」とする方式は、関東の有力大学では立教大が初めてだという。
関西では立命館大などで実施されている。
前出の駿台の石原さんは、次のように話す。
「立教大は学部同士のつながりがあり、風通しがよかったから可能でした。
学部の独立性が強ければ難しいでしょう」 和田さんは「立教大は日本で初めて、オープンキャンパスを行い、全学部統一入試も東日本で初めて導入した。
改革は得意です」と胸をはる。
 志願者数では明暗を分けた今年の入試改革。
受験生を送り出す側の高校はどう見ているのか。
浅野中・高の小林教諭はこう指摘する。
「早稲田大の政経学部や青山学院大が導入した独自問題は、思考型、教科横断型の学力を問う問題として意義深いと思うが、他学部や他大学に広がるかどうかは未知数。
新傾向か従来型かという二項対立ではなく、従来の日本の教育を生かしつつ、思考型、教科横断型の学力も追求する姿勢が必要ではないでしょうか。
この入試改革が、改めて日本の教育を考え直すきっかけになることを期待したい」 入試改革が突きつけたものは、これからの教育のあり方だとも言える。
(https://news.goo.ne.jp/article/dot/life/dot-2021040200006.htmlより引用)

関連記事