球数制限が与えた大きな影響…選抜で見えた「新たな甲子園での戦い方」 2021-04-02


図 この記事のタイプ傾向 (「厳しい」「苦しい」「自責」「見事」「発表」「期待」)

(https://news.goo.ne.jp/article/dot/sports/dot-2021040200012.htmlより引用)
 2年ぶりの開催となった選抜高校野球。
1日に行われた決勝戦は東海大相模(神奈川)がサヨナラ勝ちで明豊(大分)を下し、10年ぶり3度目の優勝を果たした。
開幕前から好投手が多く出場すると言われていたが、ほとんどの選手が期待通りの活躍を見せたことが印象深い。
主な注目投手の今大会の成績をまとめてみたところ以下のようになった。
小園健太(市和歌山)2試合 14回 被安打7 失点1(自責点1) 13奪三振 8四球 防御率0.64畔柳亨丞(中京大中京)4試合 27回1/3 被安打15 失点1(自責点1) 31奪三振 12四死球 防御率0.33達孝太(天理)3試合 26回 被安打16 失点4(自責点3) 24奪三振 17四死球 防御率1.04石田隼都(東海大相模)5試合 29回1/3 被安打14 失点0 45奪三振 2四球 防御率0.00 大阪桐蔭の松浦慶斗、関戸康介の二枚看板は結果を残すことはできなかったが、それ以外にも木村大成(北海)、花田侑樹(広島新庄)、野崎慎裕(県岐阜商)、深沢鳳介(専大松戸)なども見事な投球を見せた。
これだけの投手が前評判通りの結果を残す大会も珍しい。
開幕から12試合が終了した時点でホームランが出なかったこともあって、コロナ禍による打者の実戦不足を指摘する声もあったが、全体的に投手のレベルが高かったことは間違いないだろう。
 そして大会の行方を大きく左右したのも投手の起用法だった。
今大会から1週間で500球という球数制限が導入され、1回戦で最も遅く登場した畔柳は準決勝では121球までしか投げられない状況となっていた。
結果として畔柳は準決勝の先発を回避し、リリーフで好投を見せながらも右肘の不調を訴えて2回1/3で降板となった。
また、達も日程的に恵まれていたこともあって畔柳のように厳しい制限はかからなかったが、準決勝では登板を回避してチームも敗れている。
端的に言えば、絶対的なエースを大会序盤で使い切ってしまったということである。
 そしてこの2チームとは対照的な戦い方で頂点をつかみ取ったのが東海大相模だ。
1回戦では昨年秋の関東大会の準々決勝で敗れている東海大甲府(山梨)との対戦だったが、先発に起用したのは昨年秋の公式戦でわずか1試合、1イニングしか登板していない石川永稀だった。
ちなみに石川は大会直前のメンバー変更でベンチ入りした投手であり、大会公式ガイドブックには名前がなく、メンバーが発表された時は小さなどよめきが起こっていた。
 そして続く2回戦では昨年秋の公式戦に一度も登板していない2年生の求航太郎を起用。
結果として石川は8回を1失点、求も4回を無失点と好投を見せ、チームの勝利に大きく貢献した。
準々決勝と準決勝は石田が一人で投げ抜いたものの、決勝も石川と求の2人が6回途中まで2失点と試合を作り、石田の負担を小さくすることに成功している。
秋までほとんど実績のない投手を大舞台でいきなり抜擢するのはかなり勇気のいることであるが、思い切って決断した門馬敬治監督とその期待に応えた2人の投手の活躍は見事の一言である。
 また東海大相模ほど抜群の投手成績ではなかったが、決勝に進んだ明豊も背番号1の京本眞と背番号10の太田虎次朗が準決勝までの4試合で交互に先発し、背番号11の財原光優もその4試合中3試合に登板している。
苦しい展開の試合も多かったが、1人の投手に負担をかけずに上手く勝ち進んだ好例と言えるだろう。
 トーナメントは負けたら終わりであり、先を考えた戦い方よりも目の前の試合に勝つことを第一優先で考えるというのがセオリーではあるが、打者のレベルや分析力が上がっている現代では1人の投手に最初から最後まで頼り切って優勝できる時代ではないことは明らかである。
 絶対的なエースにとっては負担の軽減、エースではない投手にとっては大舞台を経験できるという意味で、思い切った抜擢はどちらの投手にとってもプラスの面は大きいはずである。
選手の将来を考えても、今大会の東海大相模のような起用法が今後増えていくことを期待したい。
(文・西尾典文)●プロフィール西尾典文/1979年生まれ。
愛知県出身。
筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。
主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。
(https://news.goo.ne.jp/article/dot/sports/dot-2021040200012.htmlより引用)

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