菅首相を知るジャーナリストが明かす 「自助」と「GoTo」に固執する理由 2021-01-07


図 この記事のタイプ傾向 (「痛い」「恐れ」「恐れる」「苦労」「激しい」)

(https://news.goo.ne.jp/article/dot/politics/dot-2021010600085.htmlより引用)
 菅政権の発足から約4カ月。
コロナ対応の遅れなどから支持率は39%(朝日新聞調べ)にまで急落している。
菅義偉首相は目指す社会像として「自助・共助・公助」を掲げているが、それが何を指し示すのかは判然としない。
だが、菅首相と親交がある経済ジャーナリストの財部誠一氏は「首相就任後も、菅さんは一貫して自助の精神を発揮している」と話す。
その真意とは何か。
はたして、菅首相はこの国をどう導こうとしているのか。
財部氏に聞いた。
*  *  *「菅義偉という人物のすべての原点は、横浜市議選にあります」 経済ジャーナリストの財部誠一氏はこう断言する。
財部氏は、菅首相とは会食などを共にして意見交換をする仲で、昨年12月には菅氏の人間像に迫った『冷徹と誠実 令和の平民宰相菅義偉論』も上梓した。
菅氏の内面を知る数少ない人物の一人だ。
 財部氏によると、今の菅氏の考え方や振る舞いも、すべては横浜市議時代に礎があるという。
「菅さんは市議選を通して、人の社会や世間の厳しさを痛いほど突きつけられました。
そうした中で、菅さんはある書籍を読んで、強い影響を受けたのです」 菅氏に大きな影響を与えたとされるのが、サミュエル・スマイルズの名著『自助論』だ。
1859年刊行の本著は、ソクラテスやコロンブスなど偉人たちの言葉やエピソードを引用しつつ、「自助」の重要性を訴える成功伝集。
その内容と菅氏の過去には共通項がある。
 菅氏が横浜市議に初当選したのは、1987年。
それ以前は、自民党の小此木八郎衆院議員の父・彦三郎氏の秘書官を務めていた。
市議選出馬のきっかけは、高齢だった当時の市議会議長が引退を表明したこと。
菅氏は彦三郎氏や周辺から後押しされる形で、初めての選挙戦に臨んだ。
「ところが、議長が引退を撤回してもう一期続投すると言い出した途端、周囲は手のひらを返したように菅さんの応援をやめてしまったのです。
『若いんだから、もう一期くらい待てばいいじゃないか』と。
ただ、菅さんは当時38歳で、高齢の議員が多数を占める議会の中では若さを売りにできる。
30代のこのタイミングで出てこそ勝機があると考え、彦三郎さんらに逆らう形で出馬した。
後にも先にも選挙で泣いたのはこの時だけと菅さんは振り返るほど、激しい選挙戦でした。
それでも、自分の足を使って選挙戦を続けるうちに、徐々に応援する人が増え、苦労の果てに当選した。
『共助をあてにしているだけでは道はひらけない。
自分で判断して、自分で決断し、自分で行動する。
これこそが人生の基本である』ということを、政治家人生のスタートで思い知ったのではないでしょうか」 菅氏が強調する「自助」の原点はここにあったのだ。
その後、96年に菅氏は国政に初挑戦する。
市議を2期務めた後の衆院選だった。
「『早すぎる。
もう一期(市議を)やってもいいんじゃないか』というのが、周囲の大半の評価でした。
ですが菅さんは、自民党の現職議員がもっとも恐れる野党候補の選挙区から『出馬したい』と名乗りでた。
誰も戦いたくない相手だったから、あっさりと公認をとりつけてしまったのです。
小選挙区比例代表制が導入されたタイミングで、現職議員たちがどの選挙区から立候補するか探り合いを続けている状況でした。
周囲からは無謀と思われても、本人は勝算があると判断した。
そうして3期目となる市議選には出馬せず、1年間浪人して衆院選に備えた末、勝利しています。
この時も一番の助けとなったのは、自分自身の判断だったのです」 国会議員としてステップアップしていくなかでも、菅氏の中心にあったのは「自助」の精神だった。
財部氏によれば、それを象徴する出来事が、自民党が大敗した2009年の衆院選で見られたという。
選挙後、菅氏は隣接する神奈川3区で大敗した自民党の小此木八郎衆院議員に『自助論』を手渡した。
「これは、自助の考えが菅さんのベースにあることを象徴するエピソードです。
自助の力を信じて勝ってきた菅さんと、御曹司で、父親から譲り受けた地元の地盤、高い知名度など背景に当選を続けてきた小此木さん。
そんな後ろ盾を持ちながら落選した(当時の)小此木さんには、自助の気持ちが欠けているのではないか、と菅さんは考えたのだと思います。
言葉には出さずとも、『自助論』を渡すことで、それとなく伝えたかったのです」 時にかたくなに見える菅氏の言動や行動は、「自助」の観点から読み解くと、すんなりと理解できる。
「やると決めたらとことんやる」というスタンスは、首相就任後も変わっていない。
「例えばGoToトラベル。
年末年始は止めましたが、それまではどんなに批判をされても、なかなかやめなかった。
菅さんのGoToに対する固執が見られます。
公助や共助は、自助を支えるためのもの。
人間も経済も、自律しないと持続可能にならない。
本人が自分の力を見限ってしまっては、共助や自助があってもダメなのです。
GoToへのこだわりは、そうした菅さんのメッセージでもあるように思います」 財部氏は、菅氏が克服すべき課題についても指摘する。
「国民への説明は足りていません。
菅さんはメディアで言われるほど口下手ではなく、自由に話せば説得的です。
官房長官時代に身につけたリスクコントロールの意識が強すぎて、用心深くなりすぎている。
GoToも、徹底的にやるのであれば、『なぜ自分が固執しているのか』を、言語化して伝えるべきです。
あまりにも発信が足りない。
菅さんと親交がある私としては、メディアで伝えられる菅さんの人物像と実際の人となりが、大きく乖離(かいり)していると感じています。
それは、菅さんの発信不足・発信の仕方にも問題があるのではないでしょうか。
ここぞというタイミングでは国民に向かって対するメッセージをもっと強く伝えていくべきです」 菅氏が発してきた「自助」の言葉は、しばしば自己責任論とひもづけられ、批判の対象となってきた。
この考えを誤解なく浸透させたいのであれば、菅氏が国民と正面から向き合い、言葉を尽くすしか方法はない。
(https://news.goo.ne.jp/article/dot/politics/dot-2021010600085.htmlより引用)

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